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【C90】コミケ「コスプレ広場」を浸食する「ローアングラー」の現状と対策

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「どう断るべきかわからなかった」

そもそも、これらローアングラーたちは、レースクイーンが登場するイベントや、カスタムカー関係のイベントなどでは十数年前から存在していたが、その流れがコスプレ界にも及んできたと考えるとわかりやすい。カスタムカーイベントなどでは、コンパニオンを管理するスタッフがいるため、彼らがカメラマンを監視し、現場の統制をある程度とっている。一方で、やや過激な衣装を着用させることでブースの集客や宣伝に繋げている側面もあるが、ここで間違えていけないのは、コンパニオンはギャランティをもらって稼働する「魅せる」集客のプロであり、「このアニメが好きだから」「コミケが好きだから」という純朴な気持ちでコスプレに挑戦する10代や学生の一般人とは違うということだ。当然、カメラマンに囲まれた時の対応方法も、経験も、心構えも違うわけで、会場で守ってくれる男性もいない。

▲カメラを構える高さ、レンズの向ける位置が低い(注:被写体のコスプレイヤー様は当記事と関係がありません)

▲明らかに臀部のみを狙った撮影で、悪質といっていい。しかし装備機材を見ると、業者ではない可能性もある

コスプレ歴2年のとあるコスプレイヤーはプリーツスカートを着用するキャラの際、ローアングラーに囲まれた。「明らかに囲みの半径が短かったので、最初は『この距離でちゃんと撮れているのかな』と思っていました。コスプレイヤーはカメラマンがどんな構図で撮影しているかがわかりにくい。ただ下半身狙いはカメラの位置から明白です。その後『通路を埋めている』という理由でスタッフに注意を受け移動することになったのですが、移動する際も十数人が追って来る状況。どう断って良いかわからなかった」とその恐怖を話す。

約20年間コスプレ広場に通っている1UP情報局記者も、今夏のコミケで同様の光景を複数目撃している。コスプレ広場は周囲をカラーコーン等で囲み、撮影スペースを明示しているが、一人のコスプレイヤーにカメラマン、ローアングラーが殺到し、カラーコーンが大きく倒れたり、押し出されるシーンは異様としか言いようが無かった。会場スタッフもその状況を是正するため必死に動いていたが、各地で同様のことが起きるとなかなか防ぎきれない。

集団で襲いかかるローアングラーも

また、あるカメラマンはローアングラーが集団で行動しているのでは、と推測する。「並び撮影の場合は、目線以外の角度から撮影されることがないので、撮影も健全。局部アップ撮影などはあり得ません。その代わり長時間並ぶ必要があります。ローアングラーはその状況を逆手にとり『こんな暑い中、ずっとポーズを取っていたら疲れるでしょう。囲み撮影に切り替えて、カメラマンに一斉撮影させましょうよ』と、半ば強制的に囲み撮影に切り替えさせるのです。コスプレ経験があまり無いレイヤーさんなんかは『ああ、そうですね』と了承。すると瞬く間にそのローアングラーの仲間が集まり、一斉にスカートの下にカメラを突っ込むわけです。長時間並んで綺麗な写真を撮ってあげようと考えていた我々はなんだったのかと思いますね。その後コスプレイヤーさんはスタッフに連れられ、その広場には戻って来ませんでした」(コミケ歴8年カメラマン)。

▲コミケにおいてコスプレ広場として3〜4カ所が随時開放されていて、交流しやすい環境づくりに努めている

▲コミケでは「エントランスプラザ」「西屋上展示場」「庭園広場」「東トラックヤード」「有明西ふ頭公園」など、常時3〜4カ所がコスプレ広場として開放されていて、交流しやすい環境づくりに努めている

ある「自衛策」がネットに話題に

ではコスプレイヤーの自衛策は何もないのか。「そんなことはありません。アイデア次第では自衛できると考えています」と答えるのはコスプレイヤーの甘噛はむさん。甘噛さんは今夏のコミケでは、大好きな艦隊これくしょんの島風の衣装を選択した。コスネーム、Twitterアカウントを明示するためのボードをつくり、そこに「ローアングル上等 露出対策完璧 撮影ありがとうございます」と記載した。

hamuohotoTwitter上では「ナイスアイデア」「素晴らしい」と賞賛が相次ぎ、このつぶやきは2500RTにも及んだ。「何か面白いボードを作りたいなーって感じだったので、悪質なローアングラーに対抗するために意識して作ったりですとか、Twitterで沢山の反応をもらえるだろうなーなどとは全然考えてなかったです(笑)製作時間は1時間くらいでササーっと作りましたよ(笑)」と謙遜するが、効果は絶大で、ローアングル撮影するカメラマンはほぼ皆無だったという。オタク的な笑いのツボを抑え、しかも結果的にコスプレ会場の環境改善に繋がった彼女の行動は、今後他のコスプレイヤーも参考にするべきかもしれない。hamutwitter

ネット上では「露出度が高いコスプレをしているのだから、自業自得」とコスプレイヤーを批判する向きもいる。しかし、コスプレイヤーはコミケが規定する「露出」の注意事項を守っている。どのキャラクターのコスプレでも、ルールに則っていれば問題はないのではないか。

一方、撮影者の注意事項として記載されている「局部などをアップで撮影」「極度なローアングルからの撮影」「多人数の撮影者で取り囲む」「勝手にネットに載せる」等の項目はローアングラーたちに守られているのだろうか。答えは明白だ。この流れがさらに加速した場合、これまでコスプレ広場を交流の場として盛り上げて来たコスプレイヤー、カメラ紳士たちに影響が出ることは想像に難くない。「カオスな場所」という認識だけが強まり、コスプレ離れが起きる事が万が一あれば、コミケを楽しみにしているカメラマンにも不利益この上ない。カメラマン同士の声がけや、コスプレイヤー自身の自衛法等、どれが突破口になるかはわからないが、ここ数年で顕著になってきた悪質で異常な撮影に早く歯止めが掛かって欲しいと思ってやまない。

(編集長・佐藤)

記事公開後のお便り(8/22 16:00更新)

本記事公開後、編集部にメッセージが届いたので紹介する。

layton oregonoさんは以下のメッセージをくれた。ご本人がカメラマンさんかコスプレイヤーさんかはわからないが、このご意見もたしかに一つである。「何でお前らが仕切ったり、偉そうにするんだよ 別にそんなの人の自由だし、撮り方だって自由だ お前らが来なきゃいいきゃいいじゃん。お前らの為のコミケじゃないし おまえらが仕切るなよ!一般人や楽しんでる人の邪魔するなよ」(原文ママ)。

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▲記事とは関係ないが、このコスプレイヤーさんにはハッとさせられた

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